雨の日の思い出

ぽつ・・・

ぽつ・・・ぽつ・・・・・

ざぁぁぁっ・・・・・・・・



突然降り出した雨

昨日の天気予報は確か一日中晴れだって言ってたのに・・・。


「あーぁ。突然降ってくるなんて聞いてないよぉ」
「本当よ。制服もびしょびしょ」



三つ編みおさげの少女・鈴乃は親友の綾香と突然の雨に嘆いていた。
天気予報っていっても情報が豊かな時代ではないし、それほど気にする年齢でもない。
でもいざその時になってみると混乱してしまうものである。
二人は近くの店で雨宿りをすることにした。
ハンカチで制服や頭の濡れた部分をキレイに拭きとっていく。


すると、頭の部分に違う感覚を感じた。
不思議に思ってそれを触ってみた。



「これ・・・・」

それは白い花の模様がついた髪飾りー。



「それ、今日もつけてたんだー?」
「んー、おかしいなぁ。今日は体育があるから外してきてたのになぁ・・・。」
「鈴乃。これ、大切にしてるもんね。お父さんに買ってもらったんだっけ?」
「うん!」



鈴乃と綾香が同時にその髪飾りに注目する。
そうこの髪飾りは鈴乃の幼少時、父親から買ってもらったもの。
それ以来、鈴乃は片時も離さずにつけていた。



一番のお気に入りのものー。











「いないねー・・」
「疲れたぁー」



鈴乃は数ヶ月前、異世界で白虎の巫女になっていた。
白虎七星士の婁宿・奎宿・昴宿と残りの七星士を探していた。
だが、今日は見つからない。
今朝から天候もよくないし、今日泊まる宿も探さなければー。



そう思っていたところだった。



ざぁぁぁぁっ





突然の雨だった。



「なんでこんなときに降ってくるのよ?」


昴宿が叫ぶ。
が、叫んでいても先には進まない。宿があるところを目指して走った。




それでも走って1時間。
やっと空いてる宿を見つけた。



髪も服もびしょびしょ。
タオルで拭いて宿に丁寧に置いてある浴衣に着替えようとしたとき、鈴乃は驚いた。



「昴宿、昴宿!!」
「どうしたの?そんなに慌てて・・・」
「ね、あるよね白い花模様の髪飾り・・・ここに!?」
「髪飾り・・?朝つけてたやつだよね?ないよー」


鈴乃は呆然とした。


「もしかして、さっき走ったから・・・?」



昴宿の言葉にハッとなった。


「わたし、探してくるっ!」
「・・・っ!!馬鹿言ってるんじゃないよ!まだ大雨じゃないか!?明日でいいだろう?」
「明日じゃなくなっちゃうかもしれないもの。お父さんとの思い出の・・・大切なものなの・・・」
「ちょっ・・・鈴乃ちゃんっ!」



昴宿の声も届かず、鈴乃は宿を飛び出したー。


鈴乃の思いはひとつだけー。


今は離れて暮らす父との大切な思い出ー。


『すずの、これほちぃ』
『そうかそうか。すずのにとてもにあうよ。買ってあげるvv』


いつも優しい笑みの父が大好きでいっぱい買ってもらったりしてた。
けどあの髪飾りは特別でこの年齢になっても身につけていた。


ーあれがなかったら・・・わたしこの世界でも頑張れないー

『鈴乃なら出来る。頑張って行っておいで』





雨が止まないまま、探し続けた。



カサッ


「一体、どこいっちゃったんだろう?」


カサッ



「ここも通ったのになぁ〜・・」


カサッ



「あっ!」



「「あった!!」」




誰かと声が重なった気がした。
その正体は・・・。



「た、婁宿!?どうしてここに?」
「いや・・昴宿に聞いてね。心配になっちゃって・・・」
「あ・・。ごめんなさい。」
「ううん。見つかって良かったよ。大切なものなんだもんね?」
「うん・・・」



婁宿の優しさが嬉しかった。
こんな大雨の日なのに自分の探しものに付き合ってくれるなんて感謝しきれないくらいだ。
鈴乃は見つかった髪飾りをギュッと握り締めた。



「本当ごめんなさい。婁宿びしょ濡れになちゃった。」
「大丈夫。それは鈴乃も一緒。宿戻って温まろう」









雨の日になるといつもあの日のことを思い出す。



父との思い出と



初恋の思い出

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なんか変わった;;
婁宿とのシーン
もっと絡みをいれようかなって思ってたんですけど;;
あと、最近現実→異世界を振り返るてのがマイブームです!


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