『おかあさん、アレなあに?』 『あぁ…ウェディングドレスよ。きれいね。鈴ちゃんもいつかこれを着る日がくるのね…』 幼い頃からずっと夢見てた…。 ショーウィンドーに飾られた純白なウェディングドレス 大好きな人と永遠の愛を誓う とても素敵な 結婚式にーーー。 夢のウェディング カラーン、カラーン… 西廊国の奥の森の中にある小さな教会の鐘が鳴る。 今日はここで一組の結婚式がある。 「まだかよーおせぇなぁ」 「もっと大人しく出来ないのか」 「少しは手伝え!奎宿!!」 「ちぇ、なんだよ!」 何もしていない少年ー奎宿に他の皆は呆れ顔である。 教会の周りはまさに緑一色で多くの花が咲いていて…気持ち良い風が吹いていた。 「とってもきれいよ」 控え室で侍女と共に新婦の準備を手伝っていた昴宿は、純白のドレスに身をまとった親友に歓声を上げた。 「ありがとう…嬉しいわ」 新婦は頬を染めながらいった。 鏡に映る自分の姿…憧れていたウェディングドレスに初めてのお化粧…唇には薄いピンクの口紅が引いてあり、新婦の清楚なイメージによく似合っている。髪もいつもの三つ編みと一転して、上で綺麗にアップされている。 (なんだか私じゃないみたいだわ…) 新婦は初めて見る自分の姿に不思議と嬉しい気持ちでいっぱいだった。 そして新婦はそばにある机に目を向けた。机の上にはいつも着ていたセーラー服が置いてあった。 (今日でお別れね。そして私の世界ともーー) 「しかしあたしより若い鈴乃が早く結婚するなんてね」 「昴宿も早くしないと奎宿誰かに取られちゃうわよ」 「あんなやつ相手にするやつなんて…いると思う?」 「・・・」 新婦ー鈴乃は昴宿の問いかけに言葉が詰まった。そして先に笑い出した昴宿に続き、鈴乃もまた笑った。 「巫女様、準備が出来ましたので、移動のほうお願いします」 侍女の言葉に鈴乃は椅子から立ち上がった。そして移動するまで大切にとっておいた白いハイヒールに履き替えた。 「鈴乃、大丈夫?」 「平気よ。一生に一度のことなんだもの。きっと…」 満面の笑みでそう言うと、鈴乃はそっと優しくお腹を撫でた。 そして昴宿と共に歩き始めた。 愛する人の元へと…。 西廊国が平和になって半年…。白虎の巫女・鈴乃は恋仲であった白虎七星士・婁宿にプロポーズされた。最初は自分の世界との間で戸惑っていた鈴乃だが 『こんな私ですがよろしくお願いします』 鈴乃はこの世界で愛する人との幸せを選んだのである。 もちろん二人の結婚に街中は騒ぎ出したが、二人の希望で七星士たちでのささやかな結婚式を挙げることになったのである。 式が始まった。 決して広くない部屋に赤い絨毯を引いてその上をブーケを持った鈴乃がゆっくっりと歩く。 密かに結婚への憧れを昴宿に話したことを思い出す。それでこのような式を挙げてくれたのだと理解し、感謝の気持ちでいっぱいになった。 鈴乃が歩く先に待ってるのは、もちろん鈴乃の愛する人ーー。 初めての白いタキシードに違和感を感じながら目の前から歩いてくる、今まで見たことない綺麗な鈴乃を頬を染めて見つめている、新郎ー婁宿。 「とても素敵だね…」 「ふふ…あなたもよ…」 鈴乃は婁宿と並ぶと、二人して微笑み合った。 他の七星士たちも見守るように二人を見つめている。 そして目の前にある白虎の肖像に愛を誓い合う。 西廊国の結婚式は皆このようなしきたりがある。 「カサル=ツォニェは大杉鈴乃を永遠に愛することを誓います」 婁宿のしっかりと言う言葉に鈴乃は胸が高鳴った。 「大杉鈴乃はカサル=ツォニェを永遠に愛することを誓います」 鈴乃も心を込めて誓いの言葉を言った。 そして二人は向かい合いになった。そこには出逢ったときと何にも変わらない二人がいた。 優しい眼差しで鈴乃を見つめる婁宿ーーー。 柔らかな笑顔で、幸せいっぱいの鈴乃ーーー。 「あなたと出逢えて本当に良かった…」 「僕もだよ。これからもずっと守るよ。君と…生まれてくる僕たちの子供を…」 「婁宿・・・」 婁宿の言葉に鈴乃は涙を流して、そっと婁宿の肩に手を添えた。 そして長い長い誓いのキス・・・。 「「「おめでとう!!」」」 庭へと移動した二人を6人の七星士たちが祝福する。 鈴乃と婁宿は幸せいっぱいの顔で見つめ合った。 (長かったね…いろいろなことがあったね。私は向こうの世界を捨てた親不幸な娘だけど…) 鈴乃は何にも後悔してなかった。 (鈴乃はお父さんとお母さんのように温かい家庭を持ちます。婁宿ーカサルと、このお腹の中にいる私達の赤ちゃんとーーー) 鈴乃はまた優しくお腹を撫でた。愛する人との間に出来た子供が健やかに育つようにと願ってーーー。そして婁宿を見つめた。婁宿は自分たち以上に盛り上がってる仲間たちを見て笑っている。 そっと腕を組んだ。そして婁宿もそれに気づいたように鈴乃を見つめーー。 『鈴乃ちゃん、女の子の幸せはね、大好きな人と結婚して温かい家庭をつくることなのよ』 「あーっまたおねえちゃんたちチューしてる!!」 「胃宿、大きな声だすな!!」 最年少・胃宿の無邪気に叫ぶ声に、奎宿は胃宿の口を塞いだ。 当人たちといえば真っ赤になって俯いている。 そして鈴乃はブーケを両手にしっかり持ってみんなに向けて叫ぶようにして言った。 「ねぇこのブーケを受け取った人は次に幸せな花嫁さんになれるのよ!じゃ、いくわよ!」 鈴乃はブーケを雲ひとつない青い空に高く高く投げた。婁宿との幸せと、みんなが幸せになれよう、心を込めてーーー。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 書いちゃいました。パラレル小説!しかも結婚式!! もちろんこっちの世界でウェディングドレスはありえません。でもみんなが鈴乃の幼い頃からの夢を叶えてくれたのです。でもよーく考えてみると鈴乃ちゃんの時代ってドレスではない気が・・・。いいんです!華奢で細い鈴乃ちゃんにはドレスがぴったりです!!(開き直り) それと鈴乃ちゃんは妊娠してます。5ヶ月くらいかな〜。 (おい) なにせどっちも経験ないもので表現力が・・・。こんな感じがいいなぁって思いながら書きました。 お付き合いいただきありがとうございました。 |
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