僕が鈴乃に初めて会ったのは緑がいっぱいの風の中ー。
長い三つあみおさげでか弱そうな華奢な身体をしていた。
鈴乃は日に日に清楚で優しくて、面倒見のいい女性だと知っていった。
そんな彼女にいつの間にか『巫女』以上の気持ちを抱いていた。
いや、初めて会った時から好きだったかもしれないー。
それなのに、今頃どうしてだ?鈴乃ー?


揺れる想い・3 婁宿side
 


「私と別れてくださいーー。」


鈴乃からの突然の別れの言葉が頭の中で何度もリフレインする。
嘘・・・だよな?だってなんでこんな急に!?鈴乃に嫌われることでもしたか?
なんで・・今なんだ?

頭の中で色々考えていると訳が分からなくなる。けど、鈴乃とは距離が開いていくだけなんだろうか?鈴乃の気持ちはもう僕に向くことはないのだろうか・・・?

何故ーーー?


今夜泊まる宿が決まり、みんなで夕食を食べるときも鈴乃は「いらない」と部屋にこもった。自分から別れを言ってきたのに僕と顔を合わせたくないというのだろうか?少し腹がたった。
僕は夕食が終わって鈴乃の部屋へと向かった。少しでも真意が聞きたいー。けど鈴乃は芯の強い子だ。容易に話してくれるだろうか?
鈴乃の部屋のドアを開けるか迷っていると…


「鈴乃はお前と話す気なんてねぇよ・・・」
不意に後ろから声がした。奎宿だー。
奎宿はいつになく険悪な表情をしていた。
「奎宿…どうして・・?」
僕はおどおどとして聞いてみると、奎宿が指で「こっちこっち」と手招きした。
連れて行かれたのは宿の外ー。木々がいっぱいのところなので音が騒がしい。でも僕はこの音は結構好きな方だ。
そんなことを考えていると、奎宿が振り向きそして口を開いた。
「お前さ…あの約束、忘れたわけじゃねぇーんだろ?」
「・・・・・・あ、ああ。忘れてないよでも…」

奎宿の言葉に戸惑いを隠せなかった。
『巫女と七星士は恋をしてはいけない』という天の掟を破って交際を始めた僕と鈴乃。
でも、奎宿をはじめ、他の七星士は僕たちの恋に反対している。
今日、鈴乃が奎宿と親密に話してたのはそのことだったのだろうか・・?
七星士7人揃うのにももう少しなのに…。
本当に離れ離れになってしまう日も・・・。

「僕達はそれを承知で愛し合ってるんだ!このどこがいけないんだよ!!」
僕は奎宿も驚愕するような強い口調で言った。このことは前々から知っていたしそれを承知の上僕達は付き合ってるんだー。今更奎宿やみんなに反感を言われたってもうどうすることもできないー。

力を入れて言う僕を見て、奎宿は冷静に言った。
それは、とても信じられない耳を疑うような言葉ー。

「…このことは、お前と別れることは鈴乃自信が決めたんだよ」

え・・・・・?

一瞬言葉を失った。
鈴乃がこの別れを決めた?巫女と七星士でも別れが来てもこの恋を後悔しないと決めていたのに。
「ど、どうして・・・?」
僕がおそるおそる聞いてみると、奎宿の返答は…
「巫女だから!」
極めてあっさりだった。
「・・っだから、それは最初の時に・・」
思わず苦笑してしまった。
すると奎宿は『わかんねのかよ』と言わんばかりの顔をしてこう言った。
「鈴乃に巫女をとったらただの『普通の女の子』になるんだよ?鈴乃がお前と恋をしてるのだって巫女としてじゃなく『普通の女の子』として。でも鈴乃がココに来たのはこの国を救うために『巫女』として来たんじゃないか?それが恋で迷ったり普通の女の子なみにしてて・・責任感ねぇーんじゃねぇの!?」
「…確かに鈴乃はこの国を救うために『巫女』としてきたし、本来恋などしてる場合じゃないと思う。けど、鈴乃はいつだって巫女の使命として懸命にやり遂げようと頑張ってる!それは君だって充分に分かってるはずさ。このことで鈴乃を追い詰めたのか?」
「・・・・いくらなんでもそんなことしねえよ。鈴乃が悩んでたからアドバイスして・・そしてあいつが出した結論なんだよ。」
「そ、そんな・・・」

奎宿が静かに言った。
風が僕の胸の内と一緒に激しく音を立てた。

鈴乃…そんなに自分を思い詰めるまで言ってくれなかった?
僕はそんな鈴乃に気付いてあげられることができなかった・・?
鈴乃を誰よりも愛してるのに…。



翌日

朝、早く宿を出て旅を再開した僕たちー。
昨夜食事をパスした鈴乃も僕の後ろで昴宿と楽しそうにおしゃべりをしている。
・・・と、一瞬目が合った。僕がどうしようと思っていたその時だった。

「何!?あれ?」
鈴乃が指差したのは前方の岩山ー。頂上に鳥の大群が広がっていた。
誰かいる気配はない気味が悪かった。
「向こうは安全な場所みたいね。少しずつ歩いていきましょう。」
鈴乃がそう言って僕達は歩き出した。
誰もいないが何か気味が悪い。全員注意を払いながら歩いていたー。

それでも僕や奎宿は自分のことでいっぱいで後ろの二人に気付かなかったーー。


「昴宿ーーーー!!」

異変に気付いたのは突然の鈴乃の悲鳴。

僕らがみたのは、鈴乃の隣で血まみれになっている昴宿の姿だった。



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書いてみたかったー。婁宿さんside。でも、ひさびっさだし文才メチャクチャ(滅)婁宿もこんなんじゃないよ(汗)
でも、混乱する婁宿が書きたかったのよ。
最後の場面は表現が変だけど岩山。物騒な草原みたいな。(あとは各自で/え?
ココはすぐ終わるんで。。
鈴乃sideもご用意しました。別れを告げた夜の鈴乃ちゃんです。
婁宿・鈴乃バージョン合わせて3話になりますのでどちらとも読んで4話に備えてくださいね〜vv
それでは婁宿バージョンお読み頂きありがとうございました!

→第3話(鈴乃side)へ

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